プレゼント

兄が私の20歳の誕生日にくれたプレゼントは、今まで行ったことのないような高級レストランでのご馳走と、筆記具だった。食事中、将来の話になったが、人の話をあまり覚えていない兄が、唯一覚えていてくれた話は「文章を書く仕事がしたい」というわたしの夢の話だった。その後、プレゼントを受け取ってはっとした。わたしの夢を応援してくれてるんだ。駅の改札を挟んで渡されたプレゼントは、兄の言葉なしの優しさを感じるにはあまりにも十分だった。